COLUMN

デジタルエンジニアリングコラム

2024/05/20 3Dスキャン

【第6回】古い製品で図面もないので復元したいについて

【第6回 3Dスキャン後のSTLデータの活用】
今回は、以前第2回でご紹介した事例(L):「古い製品で図面もないので復元したい」についてをご紹介させて頂きます。

本内容では、3Dスキャンにて取得した3DデータをCAD化する際に注意したい事をお伝えします。
復元したい製品が大きなモノや樹脂製品の場合、リバースエンジニアリングにおいて難しいのは「製品の捩れや歪み」をどう考えるかです。

捩れや歪みを治具など活用して矯正した状態で3Dスキャンすれば特に問題ないのですが、矯正しない場合は、捩れや歪みが発生します。

また、設計の意図を読み解かないとリバースエンジニアリングは、上手くいかない可能性があります。

例えば、figure.4のように十字の形をした製品を復元したいとします。

3dscan5_1_2

リバースエンジニアリングによって3DスキャンしたデータをCADデータ化する際、求められる完成CADデータにもよりますが、figure.5のように考えるのか、figure.6のように考えるのかで設計の意図は違います。

十字の形をした製品がどのように相手側に嵌るのかが重要で、相手側の形を考慮しながら寸法の入れ方を決めなければなりません。

3dscan5_2

figure.7は、鋳肌面の角Rはその後の機械仕上げ加工でRの途中を切断されます。
機械加工仕上げ面にRが接するようなCADデータfigure.8ではありません。

しかしながら、CAD面作成においてSTLデータとの3D偏差域ばかりを気にして作成していると、figure.7とfigure.8は極小の形状差の為、気が付かない事があります。

これによってCAE解析の結果に影響が出る場面もあるので、製品をよく観察してCAD面作成しなければなりません。

3dscan5_3

まとめ
CADデータのその後の使い道(目的)によってリバースエンジニアリングのCAD面作成を変えなければなりません。
STLに対して一定の3D偏差域を狙ってCAD面貼りで作成するのか?3D偏差域は参考程度として設計の意図を重視したCADデータを作り上げるのか?金型抜きの成立性は必要か?捩れ歪みの影響は?など目的に応じて検討する必要があります。

今回は以上になります。
次回は「リバースエンジニアリングによるCADデータ化するまでの工程」についてをご紹介させて頂きますのでご期待下さい。

<前回記事:【第5回 3Dスキャン後のSTLデータの活用】

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