2019/10/31 3Dスキャン・リバースエンジニアリング
「スキャンデータをCADで見たい。スキャンデータを変換すればCADで見れるのでしょうか?」という問合せが最近多いです。
「基本的には見ることができません」。
一般的にCADライセンスでスキャンデータを見るには、使用されているCADソフトのオプションもしくはアドオンする別ライセンスを保有されていなければいけません。
ただその場合、機能に制限がある場合がほとんどで、ビューワー機能しかない、編集ができない等の機能制限があります。
やはり、リバースエンジニアリング系ソフトが必要でスキャンデータをCADデータ化しなければ見る事ができません。
CADデータとスキャンデータは全く性質が違うのです。
CADデータ化までの編集工程とその特徴をご説明させていただきます。
◆CADデータ化するまでの編集工程
Step. 1
スキャンした点群データは仮想平面(ワーク表面)に対して高さ方向で大小のバタつきがあります。
高精度な3Dスキャナほど、このバタつきは少ないです。
Step. 2
点群データを元に、STLデータ化していきます。
STLデータは三角形のポリゴンで表示され、三角形の一辺は必ず直線になっています。
よって、ポリゴンは折れた状態で隣り合うポリゴンと接続する事となり、CADデータのように連続した曲面ができません。
角Rのような部分は、このポリゴンが密集してRとして作成されます。
Step. 3
STLデータを元に、CADデータ化していきます。
CADデータ化は、オートサーフェスとフルリバースの2つに分けられます。
オートサーフェスにする際、NURBS(Non-Uniform Rational B-Spline)化する必要があります。
これは、CADの自由曲面や曲面を表す為に用いられる非一様有理Bスプラインの略です。
オートサーフェスは、このNURBSに対して一定の3D偏差域で面貼りを行っていきます。
フルリバースにする際は、STLデータに対して一定の3D偏差域で面貼りしていきます。
STLデータに対して、平均した面になります。
オートサーフェスとフルリバースを重ね合わせて、STLデータと比較すると分かりますが、オートサーフェスはSTLデータに比較的忠実にフィットした面になります。
STLデータとの3D偏差も小さい状態で面貼りできますが、STLデータの凹凸形状は緩やかな曲線、曲面で再現されるので多少の差異が発生します。
一方で、作成された面はSTLデータに左右されるので、うねりのある面になります。
フルリバースは一枚一枚がきれいな面になりますが、STLデータに対して平均化された面になるので、STLデータとの3D偏差は比較的大きくなる傾向にあります。
以上の手順を踏んで、スキャンデータからCADデータ化します。
単に「変換」してCADデータ化しているわけではなく、手数と工数をかけてCADデータ化しなければなりません。
弊社では、高精度なスキャナ(アーム式、カメラ式)の2台を所有しておりますので、点群のバタつきが少なく、結果としてCADデータも精度の良い面貼りが可能となります。
「精度よくCADデータを作成したい!」とお考えの時は、是非弊社までお声掛け下さい。