Index
車or開発ではなく、車&開発が必須条件だった。
就職活動時の企業選択条件として譲れなかったものは、『車』の『開発』に携われるかという点。車or開発ではなく、あくまで車&開発という条件を叶えられるかがポイントでした。
自動車産業が盛んな愛知県に生まれ、親も自動車関連で働いている環境で育った私にとっては、欲張りなのかもしれませんが、『車』の『開発』に携われるというのは、必然的な条件となりました。
企業研究を進める中で出会ったのがモビテック。説明会の時点で『車の開発職に絶対携われる』と言ってもらえる企業がほとんどなかった中、当社は『車の開発職しか募集していない』と明確に言われた点が入社の決め手でした。
また、自動車開発職に携われるだけでなく、開発の依頼元企業も大手自動車メーカー、部品メーカーのみであり、自動車開発に携わりながら、日々最先端の技術に触れて高い技術力を吸収していける環境である点も入社を決めた要因です。
机上の検討・テスト走行を重ね、最適解を見出し成り立たせる。
研修終了後、オートマチックトランスミッション(以下A/T)の制御・適合を担当する開発部門に配属されました。配属直後は、開発上で必要なデータや帳票類などをチェックする業務からスタート。具体的には、過去の不具合でNGとなったパラメータ・データ・情報などが、現状の開発に用いられていないかチェックし、設計ミスを未然に防止する業務です。当時は、右も左もわからない中でこの業務を担当していたため、無我夢中で取り組んできましたが、今振り返ると、この業務を担当したからこそ、制御開発の流れや業務の中身・データ・情報の種類などをスムーズに理解することができたのだと思います。
その後、入社3年目で初めて制御ロジック設計を担当しました。制御ロジックの設計というのは、誰がどんな風に運転しても、ドライバーが意図した通りの走行を実現させる自動変速システムを構築すること。言うなれば、乗り心地を追求し、快適性を提供する設計です。ドライバーは、男性・女性・若年層・高齢者・運動性能を求める方・静寂性を好む方・高速走行が多い方・街乗りがメインの方など多岐に渡り、自動車の使われ方も様々です。しかし、誰がどんな風に運転したとしても、乗り心地に対し満足感を得てもらう必要があります。また、A/Tの運動性能だけでなく、耐久性や燃費も満たさないといけません。そのため、矛盾した要求も多数存在します。そんな条件下であっても、何とか最適解を見出し成り立たせるのが、私たち制御設計者の役割だと思っています。
最適解を見出すためには、机上で数値だけを検討すれば実現できるものではありません。実際に自分自身で車に乗り、何度もテスト走行を行い、様々な角度から走行パターンを検証していきます。走行後は、性能を比較し、A/T用のECUのパラメータを再調整し、またテスト走行に挑みます。乗り心地という人間の感覚に対し、数値を巧みに操作し実現していくこの業務は、苦労の連続です。だからこそ、自分が開発に携わった車が街を走っているのを見たり、雑誌などのメディアに取り上げられているのを見た時は、とても感慨深いものがあります。
あと、車が好きでこの業界に入った私としては、市場に出る前の車に乗れることも、この仕事の面白さであると思っています。自動車メーカーによって求めているモノが違うため、自動車メーカーの要望に対し出来る限りすり合わせていくことは、苦労も多いですが、自分のような車好きな人にとっては、面白みとやりがいを感じられる仕事だと思います。
電気・制御知識の他、製図や運動力学・物理など、多くの知識が求められる。
安全で快適なドライブ環境を提供していくためには、安全面を考慮した設計は必要不可欠です。A/Tの構成部品の中には、動力伝達を操作するクラッチやギヤ段を形成するためにブレーキが搭載されています。どちらも摩擦材が用いられていますが、走行距離が多くなれば摩耗していきます。摩耗した摩擦材では、摩耗する前と同様の性能は出せません。摩耗レベルによっては、変速が遅かったり、変速ができなかったりします。そのため、制御システムで摩擦材を掴むための油圧を上げるなどし、A/Tの特性を多方面からみてロジックを構築することで、安全で快適な乗り心地を実現していきます。
制御ロジックの設計では、多くの知識が求められます。大学では、電気電子工学を専攻していたため、C言語・アルゴリズム・PID制御・フィードバック制御などの知識はありましたが、不足する知識も多数ありました。例えば、部品形状を把握するためには機械製図を理解していないといけないし、ロジックを構築するためには運動力学や各種物理方程式などの理解も必要です。また、動力源であるエンジンも絡むため、パワートレインに関する知識も身に付ける必要があります。覚える知識や業務が多岐にわたるため、正直大変な業務だと思います。だからこそ、任される業務が増えた時は、認められた嬉しさで満たされますね。自己成長欲が高い方には向いている業務かもしれません。
後輩を育てるというやりがい。個々のレベルアップでチーム力を高める。
私は現在、後輩育成なども担当しています。私自身が後輩に知識や技術・ノウハウを教えたりすることが好きであり、また自分の部下達が成長し活躍しているのをみるとやりがいを感じるタイプなので、今後は更に注力していきたいと考えています。
そもそも、当社は技術者集団のため、個々の成長は必須です。しかし、個の力だけでは限界があり、いくら頑張っても2倍、3倍という成果にはつながりません。けれども、個が集まり組織で取り組むことで、個では実現できない成果を出すことができると考えています。そのためにも、まずは個々のレベルアップに取り組み、そして組織で制御開発にチャレンジし、今まで以上の成果を実現していきたいです。