社内プロジェクトは未来の種となる。

開発専門企業であるモビテックには、研修の他に、将来を見据えた新領域へのチャレンジやノウハウの蓄積などを目的としたモノづくりの場である『社内プロジェクト』があります。インタビューでは、社内プロジェクトの目的や背景、そして業務への展望についてお話を頂きました。

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K.E.
技術企画部
1998年入社/中途
S.N.
技術企画部
2001年入社/新卒

自分たちの技術を形にしたい。技術屋のやる気に火が付いた。

――社内プロジェクトが立ち上がった背景について教えてください。

K.E.:当社は完成車メーカーや自動車部品メーカーに対する技術支援に取り組んできたのですが、自社の製品を持っていないため、なかなか自分たちの技術力を見せられるものがなかったんです。当時、社内からは『自分たちの技術でどこまでできるのか試したい』という声もありました。そこで、『培ってきた技術の具現化』と将来を見据えて電動モビリティに使われるであろう『新しい技術への挑戦』を目的として、初の社内プロジェクトとなるEVバイクのプロジェクトを立ち上げました。

――当時、社内プロジェクトのメンバーはどのように選出されたのですか?

K.E.:当時のベテラン社員たちによる有識者会議でEVバイクプロジェクトをやろうと決めたので、そこのメンバーが中心でしたね。その後は、EVバイクプロジェクトをきっかけに、社内で新たなプロジェクトのアイデアを募ったり、新たなプロジェクトを登録できるよう、後から社内の仕組みを整えていったという感じです。2011年頃からEVバイクプロジェクトの構想が始まったのですが、2013年にEVバイクプロジェクトを含む、複数のプロジェクトを登録して、正式に活動をスタートしました。

――プロジェクト立ち上げ当時から今に至るまで、お二人の役割は変化しているのでしょうか?

K.E.:活動を始めた頃はプロジェクトの数自体が少なかったので、とにかく一からプロジェクトを増やしてチャレンジしていくというのが私の役割でした。将来的にそれが仕事に繋がったらいいねという考えで。

今は会社全体のプロジェクト活動の管理や統括はS.N.さんに引継ぎ、リバースエンジニアリングを行う部署のマネジメントを担っています。プロジェクト活動の知識や経験を、リバースエンジニアリングの仕事にどう活かせるかを考え、取り組んでいます。

S.N.:私はプロジェクト活動の立ち上げには関わっておらず、途中からEVバイクプロジェクトのサポートとして関わるようになりました。EVバイクプロジェクトの活動が終了し、その後、K.E.さんから会社全体のプロジェクト活動の管理や統括をする仕事を引き継いだんです。

挑戦の連続が、新たな可能性を広げていく。

――プロジェクトの管理や統括業務について、具体的な仕事内容を教えてください。

S.N.:新しいプロジェクトを立ち上げたいという声は、基本的に現場の技術者からあがってきます。私たちは、そういった現場の声を取りまとめた上で、会社と方向性をすり合わせ、承認を得て、プロジェクト活動をスタートさせていくんです。登録されるプロジェクトは内容も様々で、1年で完結するものもあれば、8年という長期に及んだEVバイクプロジェクトのように、複数年にわたるものもあります。

――お二人のなかで、印象に残っているプロジェクトはありますか?

K.E.:期間、人、予算を一番かけたのは、やはりEVバイクプロジェクトですね。毎年アメリカで開催されるスピードトライアルで世界最高速記録を樹立するという壮大な目標を掲げたプロジェクトでした。当然ですが、思い通りにならないことや失敗の連続で。それでも途中で諦めなかったのは、プロジェクトメンバーの強い想いと、その想いに応えてくれた会社のバックアップがあったからです。

それに加えて、技術的に足りないところはライダーの方々や協力企業、研究機関など、いろいろな方に協力していただきました。その結果として、ワールドレコードを樹立することができたと思っています。

S.N.:そうですね、本当にいろいろな方に支えられたプロジェクトでした。そこから、築いた人脈が現在に繋がり、本業の設計からモノづくりまで対応する業務において、デザインや製作の一部を協力いただくなど、社内プロジェクトから業務へ広がりをみせています。

――EVバイクの成功は会社にとって大きな財産となったのですね。ほかにも印象に残っているプロジェクトはありますか?

S.N.:私はモビリティ開発が印象に残っています。一人乗りのセグウェイのようなもので、特に苦労したのは2つのタイヤで走行する際、倒れないよう制御する部分でした。もともと私たちは機械設計や機構設計がメインで、制御の部分は弱かったんです。だから、そこを強化していきたいという想いもあって、ゼロからスタートしたプロジェクトでした。初めて制御に深く関わって、最終的には安定してちゃんと乗れるものをつくることができました。

――会社としても新たな試みだったんですね。そのプロジェクトから得られたものはありますか?

S.N.:今まではお客様に部品を設計しておさめることがメインでした。プロジェクトを通じて、制御ができるようになったことで、モーターを使って何かやってみようと試みたり、EVバイクで得た知識や人脈を活かして、モーターで動く製品そのものをつくることもできるようになりました。お客様に提供できるものの幅が広がったことが大きな成果ですね。

実力の証明からお客様への貢献へ。社内プロジェクトの進化が始まる。

――社内プロジェクトはやりがいも大きいと思いますが、普段の業務と掛け持ちすることに不安はなかったのでしょうか?

K.E.:社内プロジェクトは上からの指示や強制参加ではなく、プロジェクトをやりたいという想いを持った社員が自ら声を上げて主体的に活動をしています。だから、あまり不安はなかったですね。社外の方からも、そういう、社内からやりたいと声が上がる風土があるのはすごいねと言われたことがあります。

S.N.:うちの場合は、上が下にやれと言うのではなく、むしろ下から上にやりたいと声を上げていく風土があるんですよね。

――やらされるのではなくて、やりたいからやる。素晴らしいですね。今後はどんなことをしていきたいですか?

S.N.:社内プロジェクトが立ち上がって10年近くたちます。社内プロジェクトを通じて技術者がやりたいことができたり、チャレンジする風土やスキルアップできる環境はできてきたと思います。

今後はもっと、どうやったらお客様への提供価値を高めていくことができるのかを念頭においてプロジェクトを進めていければと考えています。目の前のニーズを追うことも必要ですが、私たちの部署は、こんな技術があれば何年後かにはお客様に貢献できるはずという考えで、もっと先を見据えながら動いていきます。

K.E.:そうですね。S.N.さんの言うように、自分たちの技術を形にしたいというところからスタートした社内プロジェクトも、会社の成長と共に目的が変わってきています。今までは自分たちの力で何ができるかという目線だったんですが、今後はその力を使ってお客様にどのように貢献できるかが重要になってきます。そういったプロジェクトを一つでも増やして、会社としても、個人としても成長していけたらと思います。

S.N.:今までやってきたプロジェクトは、世の中に既にある技術をうまく組み合わせながら実現してきました。当社にはたくさんの技術者、そして、これまでに培ったスキル・ノウハウがあります。だからこそ、今後は、まだ世の中にないような新たな技術を生み出したい。私たち、モビテックが世の中に新たな価値を提供していけたらと思っています。

Profile

K.E.
技術企画部
1998年入社/中途
中途で入社し、オートマチックトランスミッションの設計を担当した後、技術企画部において、社内プロジェクトを含む、将来を見据えた企画を検討する部署のマネジメントを担当。現在はS.N.に業務を引き継ぎ、現物を3次元測定(スキャニング)し、その測定データをもとに3Dデータ化するリバースエンジニアリングを行う部署のマネジメントを担当している。
S.N.
技術企画部
2001年入社/新卒
大学では機械系を専攻。新卒で入社し、オートマチックトランスミッションの設計を担当してきた。現在は設計からデジタルデータの作成、モノづくりまでを一括して対応する部署のマネジメントの他、社内プロジェクトの管理・統括を行う部署のマネジメントも兼任している。