2018/08/06 EVバイクプロジェクト
皆さん、こんにちは。
評価Gの田井中です。
今回も川崎重工業(株)様と川重テクノロジー(株)様のご協力を得て、風洞試験を行いました。
風洞試験では、前回ご紹介しました流体解析(以下、CFD)と同様に、車両周りの空気の流れを可視化する事で車両の空力特性を確認することと、風圧によって車両に掛かる力(CD値=抗力係数)等を計測します。
可視化の方法は、煙を使って車体周辺での煙の流れ方を見る方法(煙試験)と、車体表面の空気の流れを見るために、毛糸(タフト)を車体に貼り付けて、その動きを見る方法で行います。
車両に掛かる力を計測する方法は、六分力天秤(黄色いサークル部分)を使います。
六分力天秤は風圧によって車両にかかる前後、左右、上下の荷重が測定できるようになっています。(これにより、CD値等が計測できます)
車両をセットしたら、ライダーが乗車し、風速を上げてCD値を測ります。
次に可視化をするために部屋を暗くし、風速を落として、煙を流します。
EV-02の課題として、先日のテスト走行時に車速200km/hあたりで横風が吹くと車体が横揺れするという現象が起きていました。
今回の風洞試験にて、アッパーカウルからの風がライダーの上半身に当たり、空気の渦が発生し、ライダーの体が揺れてハンドルに挙動が伝わることが分かりました。
この対策として、アッパーカウルとスクリーンを延長しました。
更にヘルメット後方へダックテール的なリアスポイラーを追加する事により、乱れを抑制し、頭を振られなくしました。
結果、空気の流れは改善!!
元々、CFDで想定していたCD値より更に全体として約5%もの空力改善を行うことができました。
空力とは、こちらを正せば、あちらが立つもの。
風の流れという見えざる相手を予測するのはなかなか難しいものです。
特にバイクは、ライダーの姿勢や風向きで大きく空気の流れが変わってしまい、なかなか思う様にはいきません・・・。
とはいうものの、レース本番に向けてポジティブな結果が出ましたので、
空力面では昨年以上に期待が持てると思います。
ちなみに、ダンボールで作ったパーツは3Dスキャナでモデルを作成し、粉末造形で成形します。
最後に風洞試験設備を借用させて頂きました川崎重工業(株)様、試験を実施頂きました川重テクノロジー(株)の皆様、並びにご協力を頂きました関係会社の皆様に、この場をお借りしましてお礼申し上げます。