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モビテックブログ

2016/08/25 EVバイクプロジェクト

EVバイクプロジェクト~vol.28 車両の直進安定性(その2)~

皆さん、こんにちは。
評価Gの田井中です。

今回はVol.24にて紹介致しました、『車両の直進安定性』について、その後の活動内容を紹介したいと思います。

Vol.24では(1)ハンドルポジションUP、(2)フロントタイヤの銘柄変更、(3)フロントホイール重量UPなどの、主に『ウォブル』対策を実施したところ効果が有り、さらに、アッパーカウルによる横風の影響が大きそうだと言うところまで紹介致しました。

そこで、我々はアッパーカウルを変更し、その効果を確認する事に致しました。アッパーカウルによる車両安定性への影響はなかなか設計的に数値化する事は困難な為、物を作って評価する事と致しました。先回の実走結果から、スクリーンのみをブレスに取付けて走った所、効果が高かったので、主にハンドルより上の部分の面積を減らす事で、効果を得られると仮定しました。

製作にあたっては、一から型を作り直していると、費用も時間も掛る事から、ジー・ゾーン様にお願いし、現状の型を使って、上部をカットしてもらいました。

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効果確認の為、いつも使用させて頂いている(財)日本自動車研究所のテストコースを使って実走評価です。今回はいつもの直線路(1.5km)だけでなく、高速周回路(1周5.5km)を使ってより速度の高い領域での車両安定性を確認しようと考えました。

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直線路での結果は…あまり効果無し。220~230km/hで揺れ始めるとの事。他にもフロントサスペンションのバネ定数を2.0kgf/mmまで上げたりしましたがほとんど効果は有りませんでした。
初日は風が前回よりも強かったので、「その影響では?」と考え、2日目の高速周回路での評価に臨みます。
しかし、結果はあまり変わらず・・・。
2日目は、HONDA CBR600RRのレース仕様を持ち込み、乗り比べを行いましたが、弊社の「EV-01の方が直進安定性が無い。このままだとボンネビルで走れない。」と、ライダーの水谷氏より厳しいコメントを頂きました。

なかなか打開策が見いだせず、困り果てた我々は、昨年のパイクスピーク EVバイク部門の優勝者で、数々のEVバイクでテスト経験を持たれている、(株)MIRAIの岸本代表に「弊社のEV-01に乗って頂き、評価をして頂けませんか?」と打診した所、快く引き受けて下さりました。

早速、昨年も撮影等で使わせてもらった『飛騨エアパーク(直線800m)』へやってきました。
今回は試乗してもらうだけでは無く、車両の重心位置を変更し、最適な重量バランスを見つけ、対策とする事を目的としました。
先ずは岸本代表にノーマル状態で乗って頂きます。1本目からアクセル全開で走り、Uターン※されていました。「さすが、プロレーサーは違うなー」と一同関心です。(※EV-01はホイールベースが長く、ハンドルの切れ角がほとんど無い為、普段は人が押して切り返しています。)
コメントとしては、「車重の割にハンドリングが軽すぎる。重心を上に置いた方が安定するのでは。」との事。早速、車両上部に重りを50kg載せて走ってもらいます。「ちょっとやりすぎかな」との事で、今度は後ろに分散してみます。「これが良さそう」との事。他にも後ろだけや、車両下部に重りを付けて、最適なバランスを検討しました。

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また、評価は岸本代表だけでなく、水谷氏にも交互で乗って頂き、お互いの意見を出し合って頂きました。さらに、今回のテストになんと、今年のパイクスピーク出走マシン(2位入賞)を持って来て頂き、乗り比べを実施する事ができました。

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飛騨エアパークでのテスト結果から重心位置の影響が大きそうな事が分かったので、今度は重りを付けて(財)日本自動車研究所の直線路を使って高速域での評価を行いました。
結果は・・・「低速域では安定しているが、190km/hからこれまでに無い強い揺れが発生し、転倒しそうになった」との事。飛騨エアパークでの重りの効果が大きかった事から、今回は良くなるだろうと楽観視して臨んだだけに、一同、大きなショックを受けました。

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また、ふりだしに戻った我々ですが、落ち込んでいる時間はありません。
なぜなら、8月のボンネビルに向けて車両を送るタイミングが迫っており、泣いても笑ってもあと一回しか評価ができないからです。その試験でダメだった場合は今年のボンネビル出場をあきらめなければなりません。

我々は考えられる限りの対策案を検討し、また、有識者の方々にアドバイスを頂きました。その結果、大小20項目以上の対策案を検討し最終テストに臨む事になりました。
主な対策内容は以下の通りです。
(1)ステアリングダンパーを外す ⇒高速域でのウィーブ現象対策
(2)フレーム剛性UP  ⇒フレーム強度不足による要因の対策
(3)ダンパーの追加  ⇒フレーム共振点をずらすことによる対策
(4)タイヤ銘柄変更  ⇒タイヤ剛性変更による効果確認
(5)新アッパーカウル ⇒空力(横風)による影響確認
(6)タイヤウェイト追加 ⇒ジャイロ効果UP

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結果は、(6)のタイヤウェイト追加、特にリアタイヤへの重り追加の効果が大きかったです。市販のバランスウェイト20gを250個貼り、通常より5kg重くする事で、大きなジャイロ効果が得られました。
次に効果が有ったのは⑤の新アッパーカウルでした。新アッパーカウルはCD値低減と、上部カットによる横風対策を盛り込んだものですが(vol.27参照)、車両の安定性にも効果が有りました。
この2案を盛り込んだ結果、これまでの最高速記録となる249km/h※を出す事ができました。(※距離が1.5kmしかない為、これ以上のスピードでは止まれない為。)
水谷氏も「これならいける!」と言って頂き、一同、胸をなでおろしました。

その後、アッパーカウルの塗装をして頂き、“EV-01A”の完成です!
一時はどうなる事かと、ヒヤヒヤしましたが、何とか車両が完成し、先日、名古屋港からアメリカに向けて出荷する事が出来ました。

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ここまで協力して下さった協力会社の皆様、本当にありがとうございました。

いよいよ、ボンネビル本番です!
今年のBonneville Motorcycle Speed Trials 2016は、8月27日~9月1日までの開催予定です。現地からの速報もブログに載せていきたいと思っておりますので、皆様、応援の程、宜しくお願い致します!

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