2023/05/31 NV事業
今回は伝達経路解析の寄与度とベクトルの重要性について紹介します。
以前、振動の伝達経路解析の事例を紹介しましたが、伝達経路解析では各伝達経路の寄与度を求めることができます。
寄与度の大きな部位に対して対策を行うことで、問題となる振動を低減させることができます。
前回の記事:振動の伝達経路解析に関する事例紹介
ただし、伝達経路解析の結果を確認する際は寄与度と併せてベクトルも確認する必要があります。
今回は下記モデルの事例をもとに寄与度とベクトルの重要性について説明していきます。
下記モデルの伝達経路解析結果を見ると、60Hz付近では経路②が最も寄与度が大きいことが分かります。
このことから経路②に対策を行えば、結果は良くなると考えられます。
しかし、ここでベクトルを確認せずに対策を行ってしまうと、結果はむしろ悪化してしまう可能性があります。
その理由は、寄与度をベクトル図で表すと見えてきます。
上記ベクトル図では、測定及びトータルのベクトルに対して、経路①③は同一方向(正ベクトル)、経路②は逆方向(逆ベクトル)であり、ここでの経路②はトータル振動を良くする働きをしています。
※トータルとは各経路の寄与度の合計を表しており、各経路の矢印の長さと角度に影響されます。
ここで経路②に対策を行ってしまうと、トータル振動を良くする働きが小さくなるため、トータルが大きくなってしまいます。
トータルを小さくするためには、経路②には対策を行わず、経路①③に対策を行う必要があるのです。
以上のことから、対策を検討する場合は寄与度を確認するとともに、ベクトルの方向も確認し、正ベクトルを抑えることが重要だと言えます。
弊社では、目的にあった振動や騒音の測定方法のご提案をさせていただいております。
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