2023/08/31 NV事業
今回は車両同一でパワープラント違い(エンジン/HV)による伝達経路解析事例を紹介していきます。
エンジンの爆発1次成分が図1で示す経路で、シートレールに伝わる際に今回は各マウントがどれくらい振動を伝達するか解析しました。
伝達経路解析における寄与の考え方については、下記リンクを参照願います。
参照記事:振動の伝達経路解析に関する事例紹介
図1. 伝達経路図
図2、車両Aがエンジン、車両BがHVタイプの伝達経路解析結果を示したものになります。
図2. 伝達経路解析結果
今回は図2、黒枠の同一周波数領域に着目をしました。車両AではRHマウントのX方向、車両BではRrマウントのX方向の寄与が高くなっていることが確認出来ます。
次に車両A、Bで寄与が高くなっている経路の要因を見ていきます。
まず、車両Aで寄与が高く出ていたRHマウントX方向の要因が伝達力、伝達関数どちらにあるのか確認しました。
図3. 車両Aの伝達力と伝達関数
図3より、X方向は伝達関数に大きな差はないが、伝達力でRHマウントに大きなピークがあることでRHマウントの寄与が高いことが分かります。
Y方向、Z方向の伝達関数、伝達力共にX方向に比べ低い為、図2のように寄与が低いことが分かります。
このことから、車両AのRHマウントX方向で寄与が高くなった要因が、伝達力による影響だと分かりました。
車両Bも同じように、寄与が高くなっていたRrマウントX方向の要因を確認していきます。
図4. 車両Bの伝達力と伝達関数
図4より、X方向の伝達力はRHマウントの方が高く次いでRrマウントとなっているが、伝達関数はRrマウントの方が高い為、寄与(伝達力と伝達関数の掛け合わせ)としてRrマウントが高いことが分かります。
Y方向、Z方向の伝達関数、伝達力共にX方向に比べ低い為、図2のように寄与が低いことが分かります。
このことから、車両BにおいてRrマウントX方向の寄与が高くなった要因は、伝達力と伝達関数が共に高いことによる影響だと分かりました。
今回の結果より、同一車両でもパワープラントの特性や使用部品の違いなどによりマウント剛性や伝達関数が変わることで、寄与の出方が異なり対策を必要とする経路(部品)も異なることが分かりました。
解析で得られたデータを元に問題となる振動の伝達部位を特定することで、効率的な車両の振動対策を可能にしています。
このように、弊社では目的にあった振動や騒音の測定方法のご提案や、車両開発のサポートをさせていただいております。
「振動、騒音の対策をしたいがどこを重点的に対策すればいいのかわからない」「従来の振動対策が適切か確認するため、第三者の考察を聞きたい」などありましたらお気軽にご相談ください。