先輩が語る開発ヒストリー

開発設計に携わる以上は頂点をめざしたい。最高峰の技術力を持って。

図面を全て再確認したことで得た自信

入社した直後に担当したのは、オートマチックトランスミッション(以下A/T)の、ギヤノイズ(ギヤ同士の噛み合いによって発生するノイズ)をなくすことに特化した設計業務でした。この業務は、求められる技術的な要求事項が非常にシビアなもので、今でも記憶に残っています。通常、ギヤを設計する場合、一対の歯車をかみ合わせた歯面間に、いわゆる「遊び」を設けます。この遊びをバックラッシと言うのですが、歯車を滑らかに無理なく回転させるためには、適切なバックラッシが必要なんです。しかし、トルク変動が大きいトランスミッションに用いられるギヤの場合、バックラッシが大きいとギヤノイズが発生しやすい。そこで、バックラッシを最適化する設計に取り組むこととなりました。その取り組みは、単に現行のギヤを設計変更するだけでなく、周辺部品に対しても設計変更を施す必要がありました。変更対象となる部品点数は約200点。その全ての図面を見直すため、1枚1枚図面を出しては設計計算をやり直し、関連部署とも綿密なやりとりを行う、という地道な活動を繰り返し、1部品ずつ設計し直していきました。3ヵ月半という短期間で完成まで持っていくことができましたが、やりきった時には大きな自信につながりましたね。
今考えると、この短期間で200点以上の部品を設計し直すのは、本当にキツイという一言に尽きます。しかし、このときの苦労があったからこそ、現在の自分があるんだとも感じています。実は、自動車の開発期間は以前と比べてどんどん短くなり、タイトなスケジュールの中で開発を進めなくてはなりません。限られた時間の中で、新技術を盛り込み、今まで以上のアウトプットが求められる世界が自動車開発です。だからこそ、あの時の苦労が、今生きているんだと感じています。苦労の先にあるものが、「自信」と「成長」なんだと思いますね。

半端な情熱ではダメなんだ

僕が設計業務をやってて面白いって感じる時は、設計上の理論値と評価結果の値が一致した時ですね。その瞬間が、一番グッときます。A/Tの部品点数は約800点。各部品はそれぞれの担当者が同時並行で設計します。そのため、自分が担当する部品以外の情報は、開発を進めながらでないと見えてこない。だから、設計する際は、自分の担当以外の部品がどのようなものになるかを推測して取り組む必要があります。ここに設計者の努力とセンスが問われるんです。相手側の部品の剛性はどのぐらいか?どういった公差を与えられるのか?形状は?加工方法は?材質は?など、様々な視点から予測を立てる。適切な推測をするには、幅広い情報収集力と多様な知識が必要になりますね。だから、設計者は常日頃から情報収集と知識習得に励まなくてはなりません。その努力の積み重ねが、全ての結果として現れる。考えて形にするというこの設計業務は、1000分の1mmの寸法誤差で壊れたり、機能を満たさないこともあるため、半端な情熱ではダメなんですよ。逆に、だからこそ、トコトン熱くなれる仕事かもしれませんね。
あと、実車でのテストドライブに同乗する際は、とても興奮しますね。海外の有名高級車向けのA/T開発に携わった時のことなんですが、試作のA/Tを実際の車両に搭載して、テストコースを全開で走らせる機会があったんです。その時は、とにかくテンションが上がりましたね。新型のFR用8速A/Tだったんですが、自分で設計したA/Tがギアチェンジしていく様を体感した時の高揚感は、今でも忘れられません。

楽じゃないからこそ魅力が潜んでいる

自動車業界は、日進月歩で技術が進化しています。そんな中、僕個人としては、今後も常に最先端技術に関わっていきたいと考えています。例えば、内燃機関を用いた車両は、ギアで機械的に変速していますが、ハイブリッドや電気自動車では、モータを制御することでそれを実現しています。モータを用いる駆動の仕組みが主流になるのであれば、僕もモータや制御の開発技術に関わりたいと思いますね。求められる技術って、産業革命以降そうであったように、時代と共に変化するものだと思っています。その時々で必要になる技術こそが、最先端の技術領域だと解釈しています。さらに、その技術を実際の製品として具現化するために存在するのが、僕たち技術者なんだと。だからこそ、技術者である僕は最先端の技術に挑戦し続けたいって思います。
その意味では、技術力を提供するモビテックだからこそやれる、っていう部分は無限にあると思いますね。今は自動車開発の分野が活動の中心ですけど、自動車開発で培った技術力が、他の分野で活かせないはずがないですしね。社会に求められる技術がある以上、技術会社である当社は、常に応え続ける必要があると思っています。会社として、その期待に応えるためには、社員である僕ら一人ひとりの成長が絶対に不可欠です。でも、その成長を支える環境って、どこにでもあるわけじゃないんですよ。技術に向き合い、技術に真剣に取り組める環境が用意されているのは、貴重だと思います。それが、うちにはある。開発の現場はキツイことも多いけど、設計という業務にとことん打ち込めるから、設計技術をやりたい、っていうその気持ちが満たされる。それが魅力なのかな。やる気が行動の起点となって、向上したいというある種の欲望が自分の目指す姿を作る。険しい道のりであればある程、己を成長させてくれる。僕はそんな会社で働いているんだという実感が、次のステージに立つ自分の将来像を作っているんだと思います。

先輩が語るエンジニアヒストリー

岸川 尋昭 平岩 克也 清水 浩雄

エンジニア対談

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